鬼平21世紀江戸市中見廻り写真


第7回 品川

鬼平犯科帳「乞食坊主」の中で,平蔵の友人の乞食坊主こと井関録之助が初めて登場します. 登場シーンは品川宿の中程,目黒川沿いの貴船明神の境内です. 現在の名は荏原神社[1]です.目黒川との位置関係が小説の中の記述と異なっていますが,目黒川治水工事の流路変更のためと考えられます.




貴船明神の裏手のこんもりとした松林のはずれ,目黒川の岸辺で盗人二人が密談をしていると,社の縁の下から乞食坊主が這い出してきます.この盗人二人が密談の内容をこの乞食坊主こと井関録之助に聞かれたと勘違いして事件が始まります.現在の荏原神社の境内もこんもりと木が茂っていますが,縁の下から乞食坊主が這い出してくるような雰囲気ではありませんでした. 美しい舞殿があります.




荏原神社の裏手の旧目黒川流路とおぼしき場所です.現代的な舞台設定ならば,井関録之助が現れるのはむしろこちらの雰囲気でしょうか.




同じく荏原神社の裏手の山手通り.なかなかクールなデザインの銭湯.




貴船明神で昼寝をしていた録之助は,東海道の街道に出て,品川宿を北へ歩き,八つ山にある小屋へ帰ります. 旧品川宿を山手通りが分断している交差点.




品川宿旧東海道にある現役の看板建築,星野金物店[2,3]




旧品川宿を通り抜けると八つ山が見えてきます.




録之助がねぐらにしている小屋は,八つ山下の小道を北の方へくねくねとのぼったところにある,と云う設定になっています. 現在の八つ山の小道を上っていくと,新旧,大小さまざまな住宅が混在する街で,すぐ隣は品川駅前の高級ホテルが立ち並ぶ地区です.




坂を上り詰めた奥の場所.右側の工事フェンスの内側はおそらく小説の記述にも出てくる加藤越中守下屋敷だった場所で,その屋敷の塀外からのびている林の中に録之助の小屋があって設定になっています.




多少なりとも八つ山の林の雰囲気を感じられる場所.今や住所表記が港区高輪4丁目ですから「乞食坊主」のすみかの小屋があったとすれば隔世の感あり,ということでしょうか.




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@720mamoru


参考文献


筆者は本来写真愛好者です.上に掲載した写真を
Nikon Image Space
にも掲載しました.フルスクリーン・スライドショー等の表示ができます.是非ご覧下さい.


使用した機材
カメラ:Nikon Df
レンズ:Nippon Kougaku PC-NIKKOR 35mm F3.5


最終更新:2018.02.12